永谷園グループの事業は、自然の恵みに依存しています。気候変動は、原材料となる水産資源の収量の減少や、品質劣化などに大きく影響します。
今後の気候変動による影響は、事業の継続につながる経営リスクとしてとらえ、対応すると同時に新たな機会も見いだしながら、今後の事業戦略へ活かしていきます。情報公開に関しては、TCFD提言の枠組みに沿った内容で開示していきます。

TCFDとは

TCFDとは、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するため、マイケル・ブルームバーグ氏を委員長として設立された「気候関連 財務情報開示タスクフォース (Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」を指します。TCFDは2017年6月に最終報告書を公表し、企業等に対し、気候変動関連リスク、及び機会に関する下記の項目について開示することを推奨しています。

ガバナンス:どのような体制で検討し、それを企業経営に反映しているか

戦略:短期 中期 長期にわたり、企業経営にどのように影響を与えるか。またそれについてどう考えたか。

リスク管理:気候変動のリスクについて、どのように特定、評価し、またそれを低減しようとしているか。

指標と目標:リスクと機会の評価について、どのような指標を用いて判断し、目標への進捗度を評価しているか。

ガバナンス

永谷園グループは、社会課題の解決と企業としての持続的成長を目指し、サステナビリティに取組むガバナンス体制として、グループ横断型組織「サステナビリティ委員会」を設置しています。
サステナビリティ委員会には、取組む項目別に部会を編成しています。特に気候変動については、「環境部会」が中心となり、方針・目標・取組み内容を立案して推進と管理を行い、その取組み状況は、「開示部会」が中心となってホームページへの開示を行っています。
サステナビリティ委員会の活動は、定期的に取締役会に報告し、リスクマネジメント委員会と連携しながら、経営基盤の強化を進めています。

戦略

永谷園グループでは、気候変動に伴う様々なリスクと機会について、外部環境の変化による緊急度と重要度の面から分析・評価を行い、気候上昇レベルにあわせたシナリオを想定して、リスクと機会の対応策を検討し、計画的に取組んでいます。

リスク管理

企業活動全体のリスク管理においては、リスクマネジメント委員会でモニタリングをしており、特に経営への影響が大きく、対応の強化が必要なリスクは、重要項目として取り上げ、リスクマネジメント委員会で進捗管理をしています。
また、サステナビリティに関するリスクについては、サステナビリティ委員会で重要課題として設定しているため、該当部会である「推進部会」が中心となって、進捗管理を行っています。

指標と目標

気候変動によるリスクと機会を測定・管理するために用いている指標は、以下のとおりです。

指標 2024年度実績 2030年度目標
CO2排出量削減率(2018年度比) 34%(21.3千t-CO2 30%
  • ※対象は国内グループ製造拠点(Scope1、Scope2)
    2024年度を基準年とした売上高あたりの原単位の削減率です。

気候変動リスクの影響評価

大分類 小分類 リスク
要因
事業への影響 時間軸 影響度 対応策
移行 政策・
法規制
炭素税の導入 利益の圧迫、
原材料の高騰
中期 再生可能エネルギーの導入、
太陽光発電の導入、
モーダルシフトの推進
移行 政策・
法規制
CO2排出量に
関する規制
再生可能
エネルギー使用等
強化による
コストアップ
短期~
中期
LED照明の導入、
太陽光発電の導入
移行 政策・
法規制
包装資材に
関する規制
包装資材の
コストアップ、
店頭からの強制撤退
中期 プラから紙へ材質変更、
商品サイズの縮小化
移行 市場 消費者の
購買行動変化
環境負荷を考慮した
商品への購買行動
中期 調理時エネルギーの
少ない商品の開発
物理 急性 台風・洪水
などによる
操業ダメージ
工場等事業所・
原料資材メーカー・
物流などの
機能停止
短期 BCP対策の強化と
情報共有
物理 急性 世界的な
異常気象の
激甚化
異常気象の頻発で
被害を受ける
原材料が拡大、
調達に影響
短期
物理 慢性 酷暑の長期化・
暖冬による商品
ラインアップ変化
包装品質改良、
参入カテゴリー
見直し
短期~
中期
夏向け商品の開発
物理 慢性 倉庫輸送での
高温による
品質劣化
品質維持のための
コストアップ
短期~
中期
倉庫保管のルールや
入出庫タイミングの最適化